はやとの風の風の風 

霧島温泉駅に停車中の「はやとの風」2号。

 

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■ 客 室 乗 務 員 さ ん ■

 

 

「はやとの風」は、Produced by 客室乗務員さん。

接客サービス等のソフト面に関しては、完全に独自の方向性が

打ち出され、しかもその企画から決定・運用までが客室乗務員

さん達自身の手に委ねられているというのもスゴいところ。

100年来特急が走ったこともない閑散路線に登場した

異色の列車を、「こんな楽しい列車、乗ったことがない!」

と乗客に言わしめるまでに育て上げてきたみなさんの、

その仕事っぷりを紹介しましょう。

 

 

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 「はやとの風」に乗務する客室乗務員さんは、平日1名、土・休日は2名体制で、2両編成の列車にはとても贅沢な人員配置。つまり、ワンマンなのに日によっては運転士を含めて3名乗務という奇妙な事になっています。

2名乗務の場合上り列車は、終点吉松で人吉からの「いさぶろう」号の乗務員1名がこちらの折り返し下り列車に、そしてこちらの1名が折り返しの「しんぺい」号に移ります。勤務ローテーションなのでしょうが、乗り継ぎの乗客にとっては、同じ乗務員さんから通しでサービスを受けられるので、とても親近感が湧きます。

 ※撮影に協力していただいた乗務員のみなさん、本当にありがとうございました。※

 

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 ■列車の出迎え

一番列車の「はやとの風」2号では、始発の鹿児島中央駅ホームで、車両基地から回送で入線してくる列車を出迎えます。「ワンマン」の表示、そして2両の短い編成ですが、黒光りするその車体に向かってうやうやしく一礼する姿を見ると、楽しくて上質な旅への期待も高まりますね。

JR九州の特急列車を印象付ける、素晴らしいパフォーマンスですが、鹿児島中央駅の在来線ホームでこれを見られるのは、「はやとの風」が到着する時の2回だけ。貴重なシーンです。

 

 ■商品の積み込み

「はやとの風」2号では、車内販売用の商品の積込作業があります。

車両基地から列車が来た時点では、販売用のワゴンはもちろん空ですから、まずはワゴンに商品を展開しなければいけません。これが結構時間のかかる作業なんです。

また、途中の隼人駅では嘉例川の駅弁、霧島温泉駅ではパンの積込があり、一通り商品が揃う頃には、「もうそろそろ終点が・・・」という感じ。2号の客室乗務員さんは、特に忙しくて大変です。

 

 ■お出迎え・お見送り

始発駅と終着駅ではドア横に立って、乗客の出迎えと見送りをします。「リレーつばめ」など他の特急ではグリーン車で行われているサービスなので、ちょっとリッチな気分です。

2名乗務の日は自由席車でもこのサービスがあります。列車に乗る時に、「いらっしゃいませ」と言われるのは何だかとても新鮮な感じ。この場面では、帽子をかぶった正装です。

え?ドアが普通列車みたいですって?いえいえ、これは間口を広~く開けてお客さんを受け入れてくれる特急列車、という事なのでしょう(・・・きっと)。

 

 ■きっぷのチェック

検札の際は、帽子だけを取った正装です。まず、客席の前で「本日は、特急はやとの風○号にご乗車いただきまして、誠にありがとうございます・・・」と挨拶があります。

そのあと、きっぷをチェックしていきますが、乗客ひとりひとりに声を掛けながら、笑顔で丁寧に応対してくれるので、何だかとてもいいサービスを受けているような感覚です。

 

 ■きっぷの発行

途中駅からの乗車や、特急券を持たない乗り継ぎのお客さんには、車内補充券発行機できっぷを発行します。これは本来車掌さんの業務なのですが、ワンマン運転の開始により客室乗務員さんの受け持ちになりました。

これが結構たいへんな仕事で、乗客が多いと掛かりっきりになってしまい、一人乗務の平日ではワゴンサービスまで手が回らなくなる事もあるのだそう。日豊線内では「きりしま」号よりも格段に停車駅が少ない事、そしてゆったりした座席と客室乗務員さんの存在も勿論ありで、隼人−鹿児島中央間の自由席はかなり人気です。たとえ区間利用であっても、たくさんの人に乗ってもらえるのは、嬉しい事なんですけどね・・・

 

 ■車内販売

車内販売は、「はやとの風」の旅に欠かせない要素のひとつ。

鹿児島県内のみを走る列車として、「地元らしさ」にこだわったメニューは、客室乗務員さんたちが自ら情報収集をし、実際に試食したうえで選ばれたスペシャルセレクション。嘉例川の駅弁が車内で販売されるようになったのも、実は客室乗務員さんの提案によるものなのです。

そんな魅力的な商品を、ワゴンやトレーで席まで届けてくれますが、あちこちで声が掛かるので、なかなか前に進みません。さらに肥薩線内ではこまめに、それも長時間停車するので、列車から降りて見学する乗客の相手をするため、それでまたストップ。買いたい乗客は、メニュー片手に、もどかしい気分で待つ事に・・・まあ、通常は2両編成なので、自分でサービスコーナーへ買いに行く方が手っ取り早いです。

足回りの悪さや、軌道の弱さが災いして非常に揺れの激しい走行中は、普通に車内を歩くだけでも不安定で怖いのに、ワゴンを押したりトレーを持っての通行がいかに大変か、想像に難くありません。プリンを運ぶ時なんて、見ているこっちが(値段が値段だけに)ヒヤヒヤしてしまいます。

走行時間が短いので、ワゴンサービスは何度も来ることはありません。だいたい乗車中に車内を一巡すると終わりになるので、買いそびれのないよう注意しましょう。

 

 ■思い出づくり

嘉例川駅や大隅横川駅では停車中、乗車記念のプレートを持って、写真撮影の手伝いをしてくれます。また車内でも、ちょっと手が空いたらプレートを手に、「記念撮影はいかがですか?」と客席を回ります。客室乗務員さんは、カメラマンとして、またモデルとしても大活躍なのです。

時には車内で、ゲームやクイズ大会等のミニイベントもあったりして、観光特急としての雰囲気を盛り上げてくれます。正装して列車や乗客を迎える時の立ち居振る舞いも洗練されていて魅力的ですが、それ以上に肩肘張らず親しみやすい接客が、「はやとの風」での旅をより楽しく、印象深いものにしているのだと思います。

 

 ■折り返しの準備

吉松駅には清掃の係りの人がいないので、折り返しの準備も客室乗務員さんの仕事です。座席を方向転換して背面ポケットにメニュー表を補充、ゴミを拾って、お手洗いの水はねを拭く・・・等々、「そんな地味な作業まで」と本当に頭が下がります。おまけに平日の乗務では、全部1人でやらなきゃいけないし・・・

もしかして、「はやとの風」は、列車の揺れだけじゃなく、いろんな面で一番大変な乗務なのかも知れません。乗車されたら、きれいに使ってあげて下さいね。

 

 ■車内の飾り付け

お正月や七夕、クリスマス等々、車内には飾り付けが施され、乗客の目を楽しませてくれます。

100円ショップで売っているような物も、うまく組み合わせて、安っぽくない雰囲気に仕上がっています。こういうのも、客室乗務員さんのセンスの見せ所。

圧巻なのは、7月の七夕の飾りで、展望スペースに本物の笹をもってきて、それに乗客が願いを短冊に書いて結ぶという趣向。天井まで届く巨大な笹が列車に合わせて揺れる様は、もう非日常を通り越して、非現実の世界にも感じてしまいます。

こんな列車、やっぱり他にはないよなぁ~と、写真を見ながら改めて思いましたね。

 

 ■乗務以外でも

竜ヶ水駅のホームにある立て看板です。

「はやとの風」の下り列車は、この駅で行き違いの停車をしますが、たまたま私の座っていた席の位置から、こんな看板が見えました。さっそく客室乗務員さんに尋ねてみると、「はやとの風」運転開始一周年を記念して、鹿児島支社の方たちがここにハイビスカスを植えたのだそうです。今でも定期的にこの駅に出向いて、ゴミ拾いや草刈りをしているとの事。

「はやとの風」デビューにあたっては、送り出す側にも不安な要素が多くあった事でしょうが、客室乗務員さんをはじめ、関係の方たちの努力と工夫とで、とても楽しい観光特急になりました。

あまり目に留まる事もなさそうな小さな看板ですが、この列車に対する鹿児島支社の皆さんの愛情みたいなものも感じられて、嬉しかったです。